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香港では超有名店で食すなかれ

香港に駐在していた時に友人知人がプライベートで遊びに来るたびに一番困ったのは世界的に知られた有名レストランに連れてってくれ!と言われる事であった。あんた香港に住んでるんだから福臨門や新同楽とかしょっちゅう行ってるんでしょ!アタシがお金払うからいいじゃないの!予約しといてよ!などと言われるのである。

しかし筆者が予約するのはスーパースターとかジェイドガーデンと言った評判の良いチェーン店か、小汚くて客でいっぱいだけど味は保証付きの九龍城の海鮮料理店で、こういう店の看板を見たとたんに「なによ!こんな店!」と怒りだされることは必至なのだが、それでも筆者は彼らを超有名店には連れて行かないのである。

理由は不味いからだ。いや、正確にはこれら有名店は香港の著名人や外国の賓客から絶賛される料理を提供しているのは事実なのだけれども、こういう店でその素晴らしい料理にありつけるのは本当に限られた人間だけであり、例え邦銀や大手商社の香港支店長であろうとも彼等だけで店を訪れた場合はグルメをうならせる絶品料理は出てこないのだ。





ちなみに筆者が働いていたのは香港と深センに万単位の工員を雇っている大手メーカーで、筆者はよく上司のカバン持ちで福臨門という香港屈指のレストランへ通っていたのだが、ある時筆者の顧客チャウ氏と一緒にこの福臨門レストランに行ったところ、これは同じ店なのか!と思うほど素晴らしい料理が出てきたのである。

それでその事をチャウ氏に聞いたところ「それは作った料理人が違うんだよ」と事も無げに言う。つまり日本の料亭の様に福臨門にも花板から一番、二番板という料理人の階級があって、チャウ氏は「アンタはいつも一番下の方の料理人が作ったものだけ食わされてるのよ」と笑いながら言ったのだ。

ちなみにチャウ氏がオーナーを務める会社は筆者の会社の千分の一規模ほどの規模しか無いし、福臨門で払ってきた費用だって筆者のいた会社の方がウン十倍も多いはずだ。にも関わらずチャウ氏の方が店から大事にされているとは「こりゃ一体どういうことなのか?」と煙に包まれてしまったが、客と一緒にいろんなレストランに行き続けるうちにカラクリが判って来たのだ。





他の国もそうだろうが香港のレストラン業界ではオーナーシェフというのはごくごく稀であり、ほとんどの店、特に市内の目抜き通りにある店はほぼすべてが出資組合、それも普段はテキスタイル業やプラスチック射出成型業など全くの畑違いの商売人たちが共同で出資し、信頼できる料理人やウェイターに店を任せるという形態なのだ。

なおこの任せるというのは給料制で雇われるという意味ではなく、営業利益の25%を特別報酬で貰える、或いは株式の15%を所有するというようにオーナーの一員になるという意味である。料理人の究極の目標は自分の店を持つことかもしれないが、繁華街の一等地に店を構えるだけの膨大な資金は自分では賄えないから、多くの香港人はこの「総支配人兼マイナー株主」を当面の目標にするのだ。

香港で最も評判の高い店には1億円や2億円をポンと出せる企業家が溢れるほど来る。だから頭の回るウェイターや腕の良い料理人たちはこういった出資者を見つけるのに必至であり、店を訪れるいろんな客と話しながら自分に出資してくれる財力があるかどうかも同時に見極めているのである。





そんなところへ日本の大企業の支店長様が来ても、ポケットからひねくり出せる金額はたかが知れているのだし、例えマーテルのXOを10本開けようが野心溢れる店員には何のメリットも無いわけだから、注文をキッチンに伝える際には「おい、あの16番テーブルの日本人向けの料理だけどな、先月入ったばかりのヤンに作らせとけ!」でお終いなのだ。

そこへ月一回で来る日本企業のマネージャーとか団体ツアーで来た日本人が入れば、一体どんな料理が出てくるのかはご想像の通りである。しかも料金は花板だろうが見習いヤンだろうが同じだから、期待が大きい分裏切られた感じは生半可なモノじゃなく、これはもう金をドブに捨てるのと同じなわけですよ。

もちろんどうしても花板は無理でも一番二番板あたりが作った料理を食べたいのなら、その店のオーナーの友人で店の常連さんと一緒に行くとか、日本の料理雑誌の取材チームの名で予約する、あるいは自分は名古屋のパチンコ屋の社長で香港に店を出したいのだ・・などと名乗り出る手もあるだろうが、筆者は単なるメシのためにそこまでやる気はない。





なお一番最初に書いたスーパースターやジェイドガーデンといったチェーン店の客は味にうるさい香港人で溢れているし、客もほとんどがサラリーマンや近所の零細商店の店主、それとそこらへんのオッちゃんオバちゃんに中流家庭の家族連ればかりだから、ウェイターたちは彼らに期待するのはせいぜいチップくらいなのである。

そこで筆者は毎回100とか200香港ドル(1.5~3千円)をお勘定の際にでっぷり太ったウェイター長や割と年かさのウェイトレスにねじ込むようにしたところ、次の回からはこのウェイトレスが毎回筆者のテーブルを担当する様になり、出て来る料理も目に見えて変わってきたのだ(ただしアルバイト店員は店内政治力が無いから幾ら渡そうが無意味である)。

「いやあ、この店最初見た時はどうしようかと思ったけど、食べてみたらえらく美味しかったわ!」というのが筆者が案内した客たちの弁。当たり前だ!オレは今までどれほど不味いモノを食わされてきたのか判ってんのか!という思いは口に出さずに「香港はB級グルメが美味いんだよ」と言うと相手も満足する。まあ正確には俺たちの財力じゃB級しか美味くないんだけどね。





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一流店でおいしいものを食べるのも、経験が必要なのですね。足元見ているんだよね。店の従業員の自分の出世のために。
おいしいものを食べたければ、自宅で調理かな。

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