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タイ王国Xデーと革命への序章を語った女

大学4年生の夏、希望通りの企業から就職内定をもらった筆者は、さっそく研究室の全ての課題を放ったらかしてタイへと7週間の旅に来たのだが、シーロム通りのロビンソン百貨店の中にある「成田」という日本料理店で昼飯を食ってるうちに、いつの間にか深い仲になってしまったのがニンという仇名の2歳年上のウェイトレスであった。本名はベンジャポーン・ワンサワイタム、潮州系華僑である。

ふつうレストランのウェイトレスは良くて高卒、下手すると小卒とこう言っちゃ悪いが低学歴だらけなのに、彼女だけは流暢な英語を話すので自然と会話する様になったのだが、後で聞いたら彼女はシーナカリーンウィロートという国立教育大学(日本で言うと筑波大の様なものらしい)の卒業生で、学校や民間企業には何故だか不思議な事に就職はせずにバイト生活をしている変わり者であった。

まあ最初は店に通って長話していたのが仕事が終わった後はデートをする様になり、やがて彼女は仕事を辞めて筆者とべったりになって・・とお決まりのコースを歩んでいったのだが、ある時にルンピニー公園内の王族の写真が掲げられた広場にいた時に彼女は奇妙な行動をとったのだ。

一人の王族のパネルに対してだけは手を合わせなかったのである。これは皆さんもう良くご存知のかの人物なのであるが、その時の筆者はタイの王族や歴史については全くの門外漢だったので何の事か判らなかったのだ。それで彼女にこの御仁は何か問題があるのか?と大声で聞いたところ、彼女はシッ!と音を立てて筆者を黙らせ、やがて人が居ない池の方へと連れて行かれたである。





あの男はどうしようもない人間なの・・とまるで重大な秘密を打ち明けるかの様な表情で言うニン。度重なる女性とのスキャンダルに麻薬やアルコール依存症の噂、そして国内のみならず公式訪問先でも引き起こす無礼で無教養な振る舞いなどを説明し始めたのだが、ニンが特に力説したのが熱いドラム缶事件の話であった。

1950年から70年代半ばまでのアジア諸国はどこも共産主義への恐怖心から軍部独裁政権が乱立し、それをアメリカがバックアップするという構図だったのは知ってるでしょうけど、タイにもタノム政権という恐怖の時代があって、明らかに共産革命を唱えている人間ならともかく、ちょっと疑わしいだけでも老若男女を問わず根こそぎ殺害していた時代があったのよ・・と説明を始めたのである。

例えばタイ東北部や北部の貧しい村の小作人たちは当然ながら革命思想に惹かれるわけであり、共産主義者はこういった村を訪れて君たちも革命に馳せ参じよう!と宣撫するわけだが、地主や村長から通報を受けて陸軍の部隊が後からやって来るとまず村人達を全員集めて尋問し、こいつは共産主義者の言うことに頷いていた!などと密告された人間はその場で油が煮えたぎるドラム缶の中に投げ込んで殺すのが常態化していたと言うのである。

ちなみにこの話を新聞社に勤めるタイ人に確認したら「そうだよ、数千、いや下手すると万単位の人間が焼き殺されたんだ。キミは外国人なのによく知ってるな」と言っていたからニンの作り話では無いことがわかったのだが、この共産ゲリラ摘発の名を借りた貧困層への見せしめ的虐殺の陣頭指揮をとっていたのがタノム首相の実子ナロン大佐で、その背後にはパネル写真の王族がいたのだそうだ。





仮にも王位継承権のある人物がそこまで現業、しかもタイ王室の熱烈な支持層である地方の農民達の組織的な虐殺行為に関与していたと言うのは正直今でも眉唾ものだと思っているのだが、タノム政権時を生きた人たちにとってはこのパネルの人物が軍の反共弾圧活動に積極的に関与、というか指揮を取る立場の一人だtら事は公然の事実らしい。

これが本当ならイディ・アミンみたいなイカれたサディストが王族の最重要人物として産まれてしまったというトンデモ無い話になってしまうのだが、ニンがかの人物について分かる人には分かるある特定の単語を交えながら憎々しげに語る様子を見ているうちに、国立の教育大学を卒業しながらも教師にも公務員にも、はてはオフィスガールさえにもならなかった理由がこの時ようやくと判ったのである。

「今の国王が亡くなってあの男が即位したら革命が起るの!」とニンは確信を込めた表情で言ったが、あれから28年が経過した今、ついにその時が来た。昨日午後7時の国王崩御の報を聞いた時に、筆者に対してタイの国内の多くの矛盾と国民幸福の阻害要因になっているのは実は王室なのだ!と真摯に説明してくれた彼女のことを急に思い出したのである。

さあ次はどう出るかな・・と今はもう何処にいるのかさえも判らないニンに対して呟いてしまう筆者。タイが好きで好きでたまらなかったのに仕事ではこれが全くと言っても良いほどご縁が無かったのだが、筆者のタイ旅行中にこの悲報がもたらされたのは何かの縁なのかもしれない。それで国王の容態が危ないと聞いた昨日朝一番にビザ期間ギリギリまで滞在を2週間延長していたのである。ニン、キミが言っていた事が起こるのかどうか同じ空の下でしかと見届けることにしよう。






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なるほど大変興味深い話です。あの男の変態的写真やビデオがちらほらネットに出回り始めています。今後のタイ情勢にはフィリピン共々注目ですね。

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