ヤワラートのチャイナタウンホテル

今回の旅で最初の3日間滞在したのはバンコクの下町ヤワラートにあるその名もずばりチャイナタウンホテル(中国語名「中国大酒店」)である。いつもバンコクではスクムビットあたりにホテルを取るのに何故こんな不便な場所にしたのかと言うと、今から30年前にここから目と鼻の距離にある伝説の安宿ジュライホテルに出入りしていて、老境に差し掛かった今ちょっとばかし昔の思い出に浸りたかったのだ。

さて空港からホテルに到着するや女房が「なに!このホテル!」と物言いが付いた。周辺は小汚い商店が密集している上にねぶた祭りの様なパレードが練り歩いていて、ブンチャカ!ドンチャカ!とうるさい事この上無い・・。ホテルに聞いたところベジタリアン祭りとかがちょうど始まったところで、なんと今日から10日間毎日欠かさず続くと言うのである。

ルームキーを受け取って部屋に入ると値段相応の安普請さは隠しようが無く、こりゃ女房はさぞかしご立腹だろうな・・と思ったが、ふとエアコンのリモコンをオンにしてもウンともスンとも反応が無いことに気がついた。それで受付に電話するとハウスキーピングのオッちゃんがチップ欲しさにたちまち現れ、今からエンジニアが来るから待っててくれ・・と中国語で言う。

それから1時間・・、3人の男がえっちらおっちらエアコンのカバーを開けて中身を分解したり空調パイプを口に加えてスーハースーハーしたりしたが、ついに長老格の親父が「このエアコンは治りませーん!」と白旗を上げた。お前らなあ・・こっちはこの糞暑い中1時間も待ってんだぞ!。隣の部屋が空いてんのなら最初からそこに移せばいいだろうが!

そして夜中まで続くブンチャカ!ドンチャカ!に加えてバンバンババーン!というけたたましいシンバルの音と、25度だと異常に寒く26度なら生温さを感じてしまうエアコンに悩まされなら一夜を明けると朝食の時間となったが、これがまた中国の地方都市に良くある様な安っぽい品揃えで、コーヒーは苦すぎるわりに他の食材はちっとも味がしないという代物だった。





まあそれでもハム、ソーセージにトーストくらい食うかと皿やナイフを取りに行ったが、そこに何故かフォークだけないことに気がつき、ウェイトレスにフォークが無いぞ!と英語で言ったら意味が分からなかったらしく、何人か集まって鳩首会議を始めたのだが、ついに最後までフォークが無いことを知覚できず、何故かガラスコップを筆者のもとに運んできた。

しかし・・このあまりのダメさが女房の笑いのツボにはまったらしく、アタシこのホテル好きだわ!などと言いだしたのだ。お前それは正気か?と思わず聞き返したら、あたしが香港に来たばかりの頃みんなで中国の田舎に遊びに行ったんだけど、そこのホテルもこんな感じだったのを思い出したのよ!と変なことを言う。

そう言えば筆者が学生の頃カルカッタやベナレス、インド最南端のコーバラムビーチやタイ東北部のコーンケーンやスーリンで泊まったのもみんなこんな感じの宿で、そこの施設も従業員も必ず最低一つは欠陥があって、それを指摘すると決まってトンチンカンな対応をし始めるのに閉口しながらもそれを楽しんでいた覚えがある。そうか・・あの時と同じか・・。

もうビジネス出張では無く旅自体を楽しむようになったのだから、あの時と同じトンチンカンな目に逢うのはむしろ歓迎すべき事じゃ無いか・・と気がついて思わず笑い出してしまったのだ。どうも長い間会社の金で快適な旅をさんざんさせていただいたおかげで旅の楽しみの軸がずれてしまった様だ。

そうしたら不思議なもので、さっきからエアコンがガタガタピシピシしていて、あたり一帯に排気ガスと香辛料の匂いが立ち込めるこのホテルが急に好きになってしまったのだ。さっきまで文句ばかり言っていたというのに全く人間なんて実にいい加減なものである。






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