ハーレム浴室のガイルン

今から四半世紀前、新潟県の独身寮で無聊を囲っていた時に東京の実家から転送された大封筒の中身を開けると下手くそなアルファベットで宛名が書かれた小封筒が入っているのを見つけた。

何だろうと思って封を切るとそこにはタイ語で書かれた便箋とともに3枚の写真が入っていて、その写真には1年半前にバンコクで少しの間だけハマり込んでいた女が写っていた。

ガイルン・ルアンロー。チャイナタウンの入り口にあるハーレムという格安マッサージパーラーの女(日本で言うとソープ嬢)である。最初は客として通っていた筆者はなぜか彼女にえらく気に入られ、いつの間にか彼女の部屋に住み着くようになっていたのだ。

しかしガイルンがお客と泡まみれになってご奉仕している最中に家でじっと待っているのは実に複雑な心境であり、さらにこれが実に嬉しそうな表情で家に戻ってくのを見るのが耐えがたいため、台湾製テレビを買いたいけど少し援助してくれないか・・と言い出したのを契機に関係をぶった切ったのだ。

そのガイルンから手紙がきた・・。でもタイ語じゃ読めねえな・・と思って写真の方を見たところ、熱帯魚らしきカラフルな魚を背景にジッとこっちを見ているガイルンが写っているのだが、右上に「サンシャイン水族館」という日本語の文字があるのを見つけた。あいつ・・日本にいやがった・・。





それでタイ語が得意な友人にファックスで手紙を送ったところ、彼から「お前、こりゃ相当キテる内容だぞ。えらく惚れられたもんだな」という皮肉とともにガイルンが書いた内容を説明してくれたのだが、聞いてるうちにため息が出てきた。

茨城県の田舎町にある店でナオミという名で出ていること、あなたを今でも愛していること、自分は日本の勝手が分からぬし外出もままならぬから会いにきて欲しい、また元の関係に戻りたい・・という内容を何度も何度も繰り返していて、相当重苦しい代物だと言うのである。

こりゃ参ったな・・と思ったが、別れを切り出した日に大粒の涙を流していたガイルンの姿が不憫に思え、まあ会うくらいはいいか・・と手紙に書かれた電話番号にかけたところ、受話器の向こうから野太い声で「はい」という声がした。

ナオミと話をしたい・・と用件を伝えたが、相手の男は「お前はなんでこの番号を知ってるんだ」を繰り返すだけなのである。その口調はどう聞いてもその筋の人間のもので、こっちが何かを言わないと先に進みそうにないから「手紙をもらった」と答えたのだ。

すると「てがみだぁとぉぉぉ!」という怒鳴り声と共に「おい!ナオミってのはどいつだ!」とそばにいる誰かに喚き始めると「ガイルン」というか細い女の声が聞こえた。なんでたかが出稼ぎ娼婦の寮なのにこの男はこんなに警戒してるんだろう・・と筆者は煙に包まれた気分だった。





「おい!お前!手紙をこっちに送り返せ!それとお前の住所と名前を言え!今すぐだ!おい!聞いてんのか!おい!」と凄む男。これはどうも単なる不法滞在の売春シンジケートどころじゃないぞ・・何かもっと別の・・と危険を察知した筆者は直ぐにガチャンと電話を切ったのである。

それから半月後に再び下手なアルファベットで宛名が書かれた手紙が届いているので再び前述の友人に便箋の中身の翻訳を頼んだところ、そこには「この前はボスに殴られちゃったけど、でもあなたにどうしても逢いたいの。お願いだから会ってよ」と書かれてあったそうだ(上の空で聞いていた)。

ここまで愛されるというのは男冥利に尽きるとも言えるが、だけど・・このケースでは相手の条件が余りにも悪すぎて、と言うか世間並みのものが何一つ無いんじゃどうしようも無い・・。で、どうしたって?あーた、こんなの当然黙殺ですよ、黙殺。

結局ガイルンからはその後も3ヶ月間くらい何度も手紙が送り続けられたけど中身を見ることなく戸棚入りとなり、ようやくある時からプッツリと途絶えてしまい、筆者とガイルンの関係はこれで終わりとなったのである。メデタシメデタシ。

だけど今でもバンコクに来てヤワラートのハーレムの側を通り過ぎるたびに(現在はクレオパトラと名称変更)、夜食を右手に家に戻ってきたガイルンの嬉しそうな表情が思い出されて、少しだけ胸がチクンとしてしまう。もう25年も経っちまったけど、悪いことしたな・・ごめんよ。






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そりゃ、別れて正解! 

以前、別れたピーナから電話が、今日本に居る~
は、偽造パスポートかビザかな? 当然そんまんま。正解!

マニラで出会ったバクラからも電話が~、おいおい止めとくれ。笑
そうそう、不動産屋の爺さんが日本で働いていたバクラを女と勘違いしてて
観光ビザ取ってやって日本に呼び寄せたのは良いけど、イミグレで入国拒否。

 

そういえば、当時、千葉県の銚子の手前と、茨城県の利根川の近くに、タイ村がありましたよね。
コンビニで、泰フーヅ売ってた位(笑)

タイは、やくざ組織が、女性の実家、家族ま押さえられるので、300万円以内の予算で、何とか日本の査証をとって、日本に着いたらオーバーステー。

ただし、日本に着いたときに、300万~500万の借金が女性の肩に。ショート ショート ショート 泊まりとかで、半々に分けて、3年くらいで自由な身になるそうで。タイへの送金を入れても。

入管や、警察の手入れが怖かったのでしょうね。自分たち(組織)が抑えている、地元以外の官僚や、ほれたお客さんからの通報が。

今は知りませんが、一昔前までは、泰の女性って、日本人っぽい考えの女性が多かった。(フィリピンと比べたら)。

惚れられる、と言うことは、筆者さんの人間性。人間性が悪いと、誰も惚れませんよ。

********

今、フィリピンで、日本人苗字の未成年の女性をつれて、名古屋に向かった、おじいさんが入管に捕まった。

よく、日本大使館が査証を出したよね(爆笑)騙された訳ですね。

そのうち、暴かれるでしょうが、後付の、認知なのでしょうね。
偽装結婚ではなくて、偽装認知、又は偽装親、又は偽装養子。
日本の業者も、色々考えますね。

 

ところで、明日から、毎月恒例の田舎へ(笑)
しばらく、ネット環境から消えます。

ごきげんよう。タイで、ゆっくりしてくださいね。

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