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アメリカは景気回復などしていない

会社員時代の同僚から「計画が外れまくって在庫の山になってしまった」という連絡が入った。そんなのオレがやってた時だってしょっちゅうあっただろう・・と思ったが、在庫金額を聞いてみたところ筆者の頃とは1ケタどころか2ケタ違うほどの深刻さで、そのうえ溜まり込んでいるのはアメリカ国内以外の国では全く汎用性の無い製品なのだ。

どうも後任者はアメリカの統計を見誤ったな・・と筆者は思った。アメリカ向けの営業を経験された方ならよくご存じだと思うが、この国はありとあらゆるデータが公表されるため需要を分析する側にとって大変便利である反面、それぞれの統計が全く違った方向感を示すことが良くあるために誤判断を起こしやすいのだ。

例えば消費者物価指数や雇用統計が8カ月連続で予想よりプラス!なんて聞くと「こりゃ注文がいっぱい来るぞ!」と思って工場にハッパをかけるが、その翌週アメリカの大手顧客から「下期は調達量30%カット、さらに10%コストダウンせよ!」なんて思いっきりシビアな指示が出てくる事なんかしょっちゅうなのだ。

将来需要について顧客の聞き取りをしても自分に都合の良い事しか言わないし、衣服や食品のようにリードタイムが短い業種なら素早く対応できても、素材ビジネスは原料の仕入れから製品化まで最低でも8カ月かかるから結局は自分たちで膝を突き合わせて鉛筆を舐め舐め来年度の計画を作るしかない。ビジネスインテリジェンスだのパターン分析だの言っても現実の世界はこんなものである。

さてそんな筆者らも「こいつは使えるな」と思ったのは米商務省が毎月発行する米卸売在庫・売上高レポートであった。これは化学や石油、家具に自動車、電機など大雑把に分類した業種ごとに「先々月は幾ら調達して在庫はこれくらいありますよ」という数字が出ていて、その業界がただ今一体どういう長期トレンドにあるのか?自分たちはどういうスタンスで臨むべきか?を知るのに最適な統計なのだ。

クリスマス期以外はある程度安定している小売に比べると中間業者である卸の仕入れというのはかなり波があって、ピークから一気に落ち込んで下限を打ち、そこで揉みあいながら徐々に上向きに転じて再びピークに戻るという1つの波(業界用語では「サイクル」と言う)は液晶なら約2年、半導体なら約4年で一周と言う具合に比較的長い時間をかけて一巡する傾向がある。





市況がマイナスに向かっている局面では何をやってもダメで、この時期は競合他社とカルテルを結んで減産・価格維持に努め、増加局面に戻れば一気に打って出るなどそれぞれの局面によってどう戦うか?が違ってくるのだ。株を例にとれば日経平均が1万円を切れば資金を手当てして買いに走るが、1万5千円になったら様子見に入り、1万8千円になったら利確に走るのと同じように「今どういう局面なのか?」を把握することが何よりも肝心なのである。

もちろん時代の注目を浴びる画期的な製品や競合他社がいないオンリーワン市場、あるいは宿命的ボトルネックや反対に過剰設備により構造的に需給バランスが崩れてるような場合ば状況は違ってくるが、商品・市場ともすでに成熟している上に競合他社との差別化が難しいような業種ではじっと流れに逆らわずに与えられた環境の中でベストを尽くすしか選択が無い。筆者のいた業種はまさにこのタイプであった。

ところがそれが機能しなくなってしまった・・。という事は米商務省の統計に何か大きな変化が出ていたのかな?と思った筆者は実に4年ぶりにUS Censusというホームページにアクセスをし、そこから1992年以来の卸売統計を引っ張って(市場価格の変動が大きい石油&石油製品だけは除外した)その昔毎月眺めていたグラフの簡易版を作ってみたのだ。それが下にあるグラフである。

青い線は調達額の推移で、これを見ると一貫して上り調子じゃないか!と思うだろうが、アメリカの企業経営者や調達担当者が重視しているのは赤い線、つまり対前年比率の振れなのである。左右2つの軸があるため分かりにくくて恐縮だが、赤い線の一番左の方の山を見ていただくと94年と99年がピークで93年と97年がボトムと言うように循環性があるのが判ると思う。

それから赤い軸の指標である右軸を見ると対前年でマイナス2.5%とか5%と動きがチマいように思えるだろうが、これが曲者で例えばマイナス3%なんて公表された途端に会社の経営者は慌てふためいて受話器を取り、仕入れ担当重役に対して「来月の購買は30%落とせ!」なんて指示が飛んでくるのが常だ。

なおこのグラフは簡易版であり、それでも説明するととんでもなく長くなるので以下割愛するけれども、赤い線の右端の方を見ていただくと2010年をピークに一貫して減少に転じており、2013年には+3%前後で揉みあいが続いたものの2014年後半には遂に対前年比±0%を割り込んでいることが見て取れる。





つまりアメリカの実体経済は数字上は微成長でも過去6年間はメンタリティー的に先細り感が支配的であり、さらに強いドルを考慮に入れると2013年以降は実質的にはマイナス局面に入っていたという事である。そんなバカな!ニュースや雑誌ではアメリカは順調に景気回復が進んでいる!と言っているじゃないか!とお思いの方もいるかもしれない。

当たり前だが金融市場の膨張や貯蓄がほとんど出来ない低賃金労働者が増えても実体経済にはさほど寄与しないものだし、ドル高も単に投機マネーが増えたかアメリカ以外から安定通貨需要が増えただけで自国の基礎経済力とは必ずしも重複しないのに、世の経済評論家たちはそれをゴッチャにして論じているのだ。

筆者の会社もこの手の連中の中にこっぴどい目に遭わされたことが何度もあって、それに懲りたから自分たちの力で分析できるよう色々と工夫をしてきたのだが、○○総研とか○○銀行調査部レポートなんて肩書に弱いバカ役員が「ほれみろ!ワシの言った通りエコノミストの○○は市場が伸びると言ってんだから来期は増産だ!」などと言い張るのを体を張って食い止めていたのだ。

しかし残念なことに後任者たちはこういう統計が持つ意味をあまり理解もせず、また「今後5年間は低成長に入るので右肩上がりの計画はとても・・」と言い出す勇気を持たなかったようだ。まあそうはいってもこの後任は筆者ら営業現場組が全員去った後で着任したから無理も無いし、だいいち筆者はこの人物と面識はほとんどないんだけどね・・。

極端に強い販路や商品あったり他社が真似できない事業構造をしている、或いは大胆なリストラを実行して徹底的な低コストを実現してでもいない限り、どの企業も競合他社との同質性の競争にさらされてしまい、そして市況の大きな変動から逃れられないものである。こういうのを敗北的な考えだ!と非難する御仁もいるだろうが、場の流れが悪いのに突っ張り続けてもハコテンになるだけだ。

自分たちに出来ることなどマッチ箱に入るほどのことしかないのに、陳腐なヒロイズムに先導されてミスしてしまう・・。まあこんなのどこの会社でも良くあることだから後任者を責める気も無いけれど、さすがにここまで財務を悪化させれば自分たちのスタンスの置き方に根本的な欠陥があることに気が付いただろう。高い勉強代だがこの経験を生かしてもらいたい。以上だらだらと長文失礼しました。







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この際、キューバにODA資金を使って、新ブランドの工場を51・49で税優遇措置を得てスタートさせて、現地組み立てと称して、初期は完成品を安価に輸出、新ブランドで売り込みを図る。
在庫一掃、10%割引も簡単。被害を被るのは、同業他社も同じこと。 なんて、案は没だよね。(笑)

 

9月30日に米ドル崩壊、アメリカは秘密結社イルミナティの管理下に。
陰謀論好きの私でも『はい?』となるような噂が飛び交っています(私の所属するコミュニティの間でですが汗)。
株はやらないのに、最近、売れ売れとの忠告があちこちから来てやたら五月蝿いのです。
ごくごく近い未来の事ですので一応コメントしてみました(笑)。

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