世代を超えた職業DNA

大阪平野の東端、生駒山の麓に石切神社という有名な社がある。古代の大和王ニギハヤヒとその子ウマシマデ奉るこの神社は何故だか歴史の途中でデンボ(腫モノやデキモノ)にご利益があるとされてしまい、現在ではガン患者の祈祷場所になってしまった主祭神には全くもってお気の毒な神社である。

昨年春に1か月ほど大阪に滞在した筆者は古代史への興味からこの石切神社へと出かけたのだが、近鉄石切駅から坂道をずっと下っていくにつれその門前町の光景に驚いてしまった。手相から、四柱推命、家相やタロット、さらには降霊術を謳う怪しげな店があたり一帯にひしめいているのである。

有名寺社にはこういう店が集まるのは昔からの事だし、それに筆者が長らく住んでいた香港にも黄大仙(ウォンタイシン)という有名な仏教寺院があって、そこにも占い師の婆さんたちがズラリと並んでいるのだけれども、この石切神社のボリュームはその比では無く、おそらく世界有数の繁栄ぶりではないかと思う。

さて先日の日記で日本のスピリチュアル産業には在日朝鮮人がやけに多いという事を書いたが、何となくその辺りを調べていると石切神社の名前が出てきた。それは大阪在住の在日朝鮮人の学生が書いた長ったらしい修士論文で、内容は自分たちの祖父母の代がどういう形で日本に定着していったのかを論じたものである。

一口に在日朝鮮人と言っても日韓併合から終戦までの間に移住した合法組から、終戦後のドサクサに紛れて入り込んだ密入国組、そして高度経済成長期以降に観光ビザで入国したまま居座ってるオーバーステイ組などいろいろあるが、大阪にいる在日の大半は韓国南部の済州島から来た密入国組なのだそうだ。





済州島というと李承晩政権期の大規模な反政府運動で数万人の島民が殺されたことで知られているが、この難を逃れるために大阪行きフェリーに飛び乗った済州島民が船の中で「何の商売で身を立てていくか?」を話し合ったそうなのだが、その際に名のあがった仕事の一つにスピリチャル系があったと言うのである。

筆者は韓国の階層については全く詳しくないのだが、済州島は長年にわたった流刑の地であり、さらに住民の大半は白丁(ペクチョン)という特殊な階層に貶められたため一般の人からは蔑まれてはいるものの、その一方で何十世代にもわたって芸能と祭事(つまり巫女的なこと)を掌ってきたのだそうだ。どうも歌舞伎の何代目○○とか猿まわし三世みたいな世界らしい。

つまり運命とか霊を肴に何がしかの金を巻き上げるのは済州島民にとってはお家芸であり、フェリーが大阪港に着くや一部の済州島民は一旦は生野区周辺のスラムに居を構えて繁華街や駅前で易者や手相占いを開業し、そしていくばくかの元手が貯まると神社仏閣の門前町に店を構え始めたということらしい。

なるほど日本のスピリチャル業界で在日が根を張れたのは、何十世代にもわたって霊感ビジネスで金をかすめてきた済州島民(=白丁)の血のおかげだったのか・・と思わず納得してしまったが、この論文をもう一度良く眺めてみると「長年にわたって芸能と祭事を・・」という一節に目が留まった。

「我々がいなければ紅白歌合戦は成り立たない!」と豪語した在日の大物歌手の発言は良く知られているが、筆者が幼少の時分からアイドル歌手やタレント、グラビアアイドルには何故だかやたらと大阪出身者が多いのも事実。なるほど・・そういうことね。世代を超えた職業DNAとは全く大したものである。






にほんブログ村 海外生活ブログ フィリピン情報へ
にほんブログ村

スポンサーサイト

コメント投稿

  • URL
  • コメント
  • パスワード
  •  管理者にだけ表示

トラックバック

http://dadesigna.blog.fc2.com/tb.php/1029-39076462