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メジャーだけど場によってはタブーなミュージシャン

営業マンとして長年色んな国の人間と折衝を重ねて来た筆者も彼らと仕事の話ばっかりしているばかりではなくて、とくに食事やパーティーの場で「オタクとの契約がまだ・・」なんてやるのはご法度だから当然誰もが受け入れやすい話題を提供する必要が出て来る。

プーケットのお勧めビーチに意外に美味かったケジャン料理、世紀の一戦と言われたサッカーの試合からイスラム原理主義者の背後にいる謎の団体といった話題なんかを話すのだけれども、中には「あんたはどんな音楽が好きなのか?」なんて質問を向こうからかけてくる外国人も結構いるものだ。

ここで「実は自分はサックスを吹きまして・・」なんて言えれば良いのだけれど、生憎と筆者は楽器の類はカスタネットくらいしか出来ぬから、相手の雰囲気に合わせて「最近はビル・エヴァンスを・・」とか「恥ずかしながらこの年になってもビヨンセが好きで・・」などと相手の見た目や雰囲気に合わせて答えるのだ。

くだけた場とは言え仕事の一環だから、筆者の亡父みたいに「フルトヴェングラー指揮のブラームスの交響曲・・」なんて顧客が全く知識が無くて興味も持てそうに無い話をベラベラ話しても眠気を誘うだけである。それに欧米人のお偉方たちだって高い教育と給料を勲章としている割には一般教養の方は案外と乏しい・・というのがこの世の現実だ。





しかし筆者も若いころにはこういう芸当が出来なくて本当のことを言ってしまう事がままあった。例えば一番好きなジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンら1960年代終わりから70年代初頭に活躍したミュージシャンたちの話をしたら、この歌手を同時代で聴いていたはずのアメリカ人幹部たちから苦笑いされたりしたのである。

このことは随分前の日記でも書いたのでここで詳しく説明はしないが、この世代の音楽はビル・クリントンのように現在責任ある立場にある人間が、実は若いころは大学院や海外留学することでベトナムへの徴兵逃れをしていた、つまり責任を果たさない人間である・・という不都合な記憶を蘇らせてしまうので敬遠されがちなのだ。

それに欧米の場合だと社会階層によって観るスポーツや聴く音楽も違ってくるから、きのう日記にしたプア・ホワイト(香港白人層)に人気のあるジョーン・ジェットが好きでして・・なんて言うと「お前は低所得で低教養の人間なんだな・・」と見なされてしまうのでアーティストの名を挙げるのもけっこう要注意だ。

でもまあオアシスやヴァン・ヘイレン、ボン・ジョヴィ、それにメタリカやブラック・サバスなんてヘビメタなんかは案外世間と折り合いが付いているもので、モルガン財閥の孫息子も中学時代は家でデスメタル弾いてたりするから、こういう名を挙げても「へえ、アンタも好きねえ」といった程度で済むのだが、しかしある音楽ジャンだけは話が別である。





パンクロックである。特に70年代に一世を風靡したセックス・ピストルズが大好きでございまして・・などと発言した途端にあたりはシーンと静まり返り、目の前の座った人間から「君はそういう人間なのか?」と言われてしまい、一体なんでこうなっちゃったの?と戸惑う事が筆者には度々あったのだ。

これは欧米と日本のパンクロックの解釈、それとファン層の違いがあまりにも大きい事が原因なのである。パンクと言うと革ジャン姿で、「FUCK YOU」と叫びながら鉄パイプであたり一帯のモノをぶっ壊しているイメージをお持ちだろうが、じゃあ日本のパンクたちが住んでいる建物はみんな廃墟化しているのかと言えば、当たり前だがそんな事があるはず無い。

それに筆者の世代だとパンクを聞くのは案外と高学歴の人間が多く(ヘビメタだとまあ普通でバカは松本伊代や柏原芳恵なんかを聞いてた)、新宿ツバキハウスというディスコで毎週開催されるロンドン・ナイトで踊り狂っていた高校生の男女も後に慶応の経済や東工大の量子力学に進んで今では東京電力やNTTで管理職を勤めていたりするのだ。

「ぶっ壊せ」とか「アナーキー!(無政府主義)」と言ってもあくまでファッションやスタイルとして使い分けているだけであり、仮にパンクだけが住む市が誕生してモヒカン刈りの市長がアナーキズム宣言(行政機能完全廃止宣言)をしたとしても、草の根共同体社会が自然発生して「可燃物のごみ収集日は毎週水曜です」とか「確定申告はお早めに」なんてポスターが電信柱に貼られてるのが日本なのだ。





ところが欧米の場合この「使い分け」というのが無い、正確に言うとアナーキズムを地でいってるから手あたり次第モノをぶっ壊しており、ロンドンやベルリンのパンクが多く住む地区なぞ出かけると、そこはもう完全なる無政府状態、ゴミと瓦礫と使用済み注射器が転がっている街、マンハッタンの100丁目よりも北のような無法地帯と化しているのだ。

かく言う筆者も30歳の頃ベルリンに寄った際に、オスト駅の地下街でパンクスタイルに身を包んだ若い男女の集団がいるから興味本位で声を掛けたことがあるのだが、これがまあ冗談でなく本当に身ぐるみはがされるところだったのだ。運良く巡回警官がいたから助かったけれども、連中には理屈も何もあったもんじゃないのである。

その社会不適合者、神も法も信じぬ破壊者、大阪池田小学校に侵入して子供8人を殺害した宅間守のような破壊願望者、サッカーの試合で鉄パイプ片手に暴れているフーリガンと同じ価値観を持つ日本人が名だたるハイテク企業のセールスマネージャーを勤めていて、そいつが自分の会社に商談に来て今目の前にいる・・・。そう考えると一体筆者は彼らの目にどう映ったのか容易にご想像できるだろう。

と言う事で筆者はセックス・ピストルズの話は一切合切封印してしまい、パンクバンドの中でも世間と折り合いがついて市民権を得ているクラッシュやグリーンデイの話なんかが出ても「パンクですか?一切興味ないですね」と隠れキリシタンのように否定し、しかし心の中では「アナーキー・イン・ザ・UK」を奏でていたのである。






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