大ハズレのサスペンス映画

女房がジェニファー・ロペスの新作映画を観たいと言うのでアンティポロのロビンソンシアターまで夫婦そろって出かけて行った。筆者はこの女優にはあんまり興味が無いのだが、女房は映画「セレナ」以来かれこれ20年近くジェニファー・ロペスのファンで、彼女の作品は全て見ているらしい。

映画館に貼られたポスターには題名THE BOY NEXT DOORと書かれてあり、どうやら筆者の好きなサスペンス映画の様である。しかも犯罪的な人物に付きまとわれるサイコ・スリラーと書いてあるから否が応にも期待が高まった。というのは筆者は犯罪ものが大好きで、家には幽霊の本の他に殺人事件からみの本がずらりと並んでいる殺人マニアだからである。

ちなみに殺人本といっても「○○温泉湯けむり殺人事件」みたいなアホみたいな推理小説ではなくて実際に起こった事件に関するドキュメンタリー本である。それも痴情のもつれとか激情に駆られて・・みたいな単純な事件ではなく、殺人に憑りつかれてしまった精神病理者や人間の肉が食いたかったなどの生まれ付き頭のプログラムが壊れた人が引き起こした猟奇事件が筆者の好みである。

ポスターに書かれた「隣に住む少年が実はサイコパスだった・・」という宣伝文句。考えるだけで身が震えるストーリーである。それで女房の肩を「良くやった!」と叩いて意気揚々と映画館へと向かったが、1時間半後に筆者は全く逆の理由で再び肩を叩くことになる。





この映画サスペンスファンにとっては大ハズレなのだ・・。映画のストーリーは離婚した中年の女教師(ジェニファー・ロペス)が隣人の青年と一夜の関係を持ってしまうが、やがてこの青年の支配欲がメラメラを燃えていき女教師の学校に生徒として入学、再び関係を迫るが女教師に拒まれたため様々な嫌がらせをした揚げくに女教師の別れた夫と息子を殺そうとするという話である。

少しでも精神病理者の事件を調べたことがある方ならお分かりだと思うが、サイコパスという人間は設計上きわめて単純に出来ていて、この支配欲がメラメラとか断られたので腹いせに嫌がらせをするなんて面倒な時間をかける前に障害物(夫や子供)を除去した上にサッサと気に入った女性を強姦して殺しているのである。

カマキリなどの捕食生物の様な単純さと不気味さを持つのがサイコパスなのに、この映画に出てくる青年の行動パターンは典型的なストーカーなのだが、しかし単なるストーカーでは結末の殺人未遂行動には飛躍がありすぎる。

そこでストーリー上「この青年は過去に人を殺したことがある」と無理やりキャラを作ってつなぎ合わせているのだが、この殺した相手というのが自分の実の父親と愛人で、それは愛する母親を自殺に追い込んだ二人への復讐だったという理由なのには呆れてしまった。おまえサイコパスが自分以外を愛する事が出来ないのは誰だって知ってることだろ・・。





結局この青年は常識的な脳機能を持ったマザコンのモンスターという訳の分からないキャラになってしまい、いくら効果音を駆使して観客を驚かせようとしても主人公の設定自体に無理があるからちっともリアリティーが無いのである。

この映画アメリカで結構売れた割には製作費が400万ドルと格安だったらしいが、どうもジェニファー・ロペスの出演以外は思い切り予算をケチったようで各キャラクターの性格的な肉づけや脚本の事前検証もままならなかった様だ。

さて映画館を出たあと「感想はどうだった?」と女房に聞いたが、女房の回答は「ジェニファー・ロペスは45歳なのにまだまだいけるわね」とストーリーとは全然関係ないものだった。それでお前はあの青年のキャラ設定に違和感を感じないのか?と聞きなおしてみたところ、女房は青年が出てくるところはロクに見てなかったわ・・と白状した。

と言う訳で本格的なサスペンス映画が好きな方はこの作品を見ることはお勧めしません。ただし紹介文にエロチック・スリラーと書かれてあるとおりジェニファー・ロペスのブヨンと垂るみ気味の濃厚ボディが溜まらないと言う方なら暇つぶしに劇場に向かわれてはいかがでしょうか?






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映画「猿の惑星・新世紀」鑑賞記

先日またロビンソン・ギャラリアの試写会へ呼び出された。観客が足らないため映画館の主任以上はノルマで各10人集めねばならないのよ!、赤ん坊でもいいから10人で来てちょうだい!という事だった。それで近所に住む従姉妹ミレット夫妻とメイドのラセルとお隣のメイドまで連れて映画館へ向かうと、従姉妹アニーは「ああ良かった!これで役目が果たせたわ!」と大喜びで、早速筆者らにハガキ形式の招待券を手渡した。みるとそこにはチンパンジーの様な顔が大写しになっていて、DAWN OF THE PLANET OF THE APESと書かれている。お前っ!これは「猿の惑星」じゃねえかっ!

「猿の惑星」というのは筆者が幼稚園に入る前の頃に一世を風靡し、相次ぐ続編製作で 興行収入記録を塗り替えたハリウッド映画である。しかし「スターウォーズ」や「未知との遭遇」の様に何十年経っても人々の記憶に残る名作ではなく、筆者が大学で映画サークルにいた80年代でさえ誰もこの作品の名前をあげる人間はいなくなってしまった「どうしようもない」映画である。なのになんで今頃・・?と驚いたが、アニーの話では数年前にリメイク版が出て、今日これから観るのはその続編だという。あんな駄作をリメイク・・?ハリウッドって相当アイデアが枯渇してるんだな・・と思いながら劇場へと入って行った。


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さて2時間後に劇場から出て来た女房その他の連中は「ま・まあ思ったよりは良かったんじゃない」と無理に作り笑いしていたが、筆者の正直な感想は猿の鳴き声や毛の生えた動物が好きな人がいたら観たらどうですか・・程度である。どうせなら「猫の惑星」という映画を作った方がまだ客を呼べたんじゃないか・・、どおりで試写会に人が全然集まらなかった訳である。帰りの車の中で従姉妹ミレットが「ブラザー。昔の猿の惑星の映画ってどんな内容なの?」と聞いてきたので、宇宙飛行士が不時着した惑星は猿たちに支配されているが、実はここは未来の地球で人類は核戦争で滅びてしまっていたという話だよ・・と説明した。そしてこの原作は人種偏見の・・と言いかけたところで口を閉ざした。

筆者より年齢が上の方ならご存知の方も多いと思うが、この映画の原作者はフランス人で、第二次大戦中に日本軍が原作者が住んでいたフランス領インドシナ(ベトナム)に侵攻してきた時の白人達の心理体験をベースにして居るのだ。スターリンの恐怖政治に驚愕したジョージ・オーウェルが「1984」を書いた様に、このフランス人原作者は同じ人間として見なしてこなかった黄色人種の日本人が自分たち白人を支配する立場になったことに驚愕して「猿の惑星」を書いたのである。ちなみにこの原作者は猿の惑星とは別に「戦場にかける橋」の原作も書いているよ!と言えば、この人物が黄禍論の思想の持ち主であることが分かるだろう。


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さて今回試写会で観た「猿の惑星・新世紀」にも「見方によっては」随所に白人による有色人種観を暗示させるシーンが幾つかあって、水力発電所を再稼働させて電力を手に入れたい人間たちはアメと鞭をもって森を制圧した猿たちと停戦交渉するのだが、この人間が用意したアメは抗生物質(科学)とコミック(娯楽)、鞭はもちろん重火器(軍事力)なのである。しかし手違いが発生して人間と猿は戦争状態になってしまうが、最後の最後に人間により教育されたボス猿が猿軍団の権力を取りもどして人間との戦争を終結させる。ここでハッピーエンドとなるのだが、この猿たちとの関わりってアングロサクソンの対イスラム教徒観そのものじゃないか? アフガニスタンのカルザイやイラクのマリキがさしずめボス猿ってことね・・。

「だけど猿が人間に対して報復するなんて生意気よね!」と言うミレット。お前ねえ・・俺は別に動物愛護主義者じゃないけど、今から100年前にフィリピンにいたアメリカ人はフィリピン人のこともそんな風に見てたんだよ・・。この皮肉に気がつかんのか?と言おうと思ったが、つまんない映画を見て白けている彼らに追い打ちをかけたく無かったので止めた。それにしても・・久しぶりに何の価値の無い映画を見たなぁ・・。今年度ポンコツ映画1号認定である。


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頑張れ!日本の悪霊たち

先日オルティガスのロビンソン・ギャレリアまでホラー映画を見に行ってきた。従姉妹アニーがここに勤めていて新作映画の試写会に突然呼び出されたからだ。どうも「アース・オブ・エコー」という子供向けの新作映画の試写会は観客があんまり集まらなかったようで、配給会社のお偉いさんを立腹させないために映画館職員の家族友人がかき集められたのである。そして家でゴロゴロしているだけの筆者ら一家3人と、これまた年中ヒマな従姉妹ミレットがご指名を受けたのだ。

たまたまミレットの家に遊びに来ていた妹ローズアンと映画館の近くに勤めているミレットの旦那ラフィーが参加した事でノルマの4人を達成したので、筆者と女房は子供映画の試写会には参加せずに「デリバー・アス・フロム・イヴィル」というホラー映画を見ることにした。ポスターを見た感じでは随分とオドロオドロしい感じがするので、アニーに映画の評価を聞いたところ相当怖い映画だというので迷わず決めた。


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この映画のストーリーを言うと、イラクに派遣されたアメリカの海兵隊員が誤って悪霊を封印した遺跡に足を踏み入れてしまい取り憑かれてしまい、やがてアメリカに帰国した彼らが続々と猟奇事件を起こすという内容である。この海兵隊員を追うのがニューヨーク市警の刑事と神父で、刑事の娘に悪霊が忍び寄りやがて娘を捉えてしまうなどのアクシデントはあるが、最後は神父の悪霊払いが成功しハッピーエンドとなる。さてここまで聞いてみて、このストーリーって何処かで聞き覚えはありませんか?

そう、ウィリアム・フリードキンの「エクソシスト」と同じプロットなのだ。筆者が子供の頃に世界中を恐怖のどん底に陥れた超名作である。悪霊が取り憑くのはリンダ・ブレア演じる可憐な少女と筋肉ムキムキの海兵隊員の違いはあるけれども、悪霊をキリスト教の力で退治するという基本構図は同じである。そして両作品とも悪霊はアメリカ国内でなくわざわざイラクから来ているというのが如何にも福音主義的なアメリカ人らしい発想だ。。


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古代のユダヤ人やキリスト教徒にとっては、東方に位置するメソポタミア地域というのは退廃の町バビロンに象徴されるような堕落した文明であり、バビロン捕囚で迫害された恨みも重なって文字通り「悪魔の住む地域」と見ていたらしい。ヨハネの黙示録に書かれた「天使は力強い声で叫んだ。倒れた。大バビロンが倒れた。そして、そこは悪霊どもの住処、あらゆる汚れた霊の巣窟、あらゆる汚れた鳥の巣窟、あらゆる汚れた忌まわしい獣の巣窟となった…」という一文が示すとおり、悪霊パズズやベルゼブブ、バビロニア神話に登場するエンムーやクビュ、ラマシュトゥやたらといろんな悪霊を恐れていた様だ。

もっとも古代の神話というのはどの国も同じで英雄と女神と悪魔入り乱れての征服劇であり、古代のメソポタミアはアッカドやヒッタイト、シュメールなどの強国が血で血を洗う抗争を繰り広げていたから、これらの悪霊というのは霊的なモノではなくて、おそらくは虐殺者となった敵将や殺された地方の王の怨念、または正体不明の伝染病を比定したものであろう。そしてこれより後のローマ帝国の時代は文明が進んでしまい人間の所作を霊的なものに転換する事は無くなったので、今から4000年前に実際にいた殺戮者は今でも悪魔として活躍(?)しているのである。


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これは日本も同じで、大国主や猿田彦などの古代豪族から長屋王に菅原道真、平将門あたりまでは怨霊として公式記録に残っているが、時代が下って源頼朝に楠木正成、織田信長、孝明天皇など同じ様に憤死した人間たちは怨霊となっていない(唯一の例外は12世紀も崇徳天皇だが、この方は自分で怨霊になると明言したからである)。そしてバビロニアの悪霊バズズが遺跡に封じ込められた様に、日本の怨霊たちも出雲や熊野、太宰府や伊勢神宮など日本各地の神社に封じ込められているのだ。ただし日本では縁結びの神とか子孫繁栄の神というほのぼのした名前をつけられて誤魔化されているが・・。

さて日本にも中近東と同じ様な血生臭い興亡の歴史があるのだから、これら怨霊をテーマにしたホラー映画を作っても良いのではないかと思う。とくに熊野あたりは風景も不気味だし、土地的にも色々と怪しげな因習があるからハリウッド辺りで作品を作ってもらえないだろうか。貞子や伽倻子も良いけれど、もっと物凄いパワーを秘めた古代の王族たちがいるのだからいるのだから、こいつらがスクリーンを所狭しと跋扈する映像を見てみたい。


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ホラー映画「コンジュアリング」

あまり期待しないでこの映画を観にSMシネマへと足を運んだのだが、この映画意外や意外ホラー映画としては良質な作品だった。ストーリーは平凡な一家がロードアイランドの古いけど大きな家に引っ越してきたが、引っ越し早々毎日にように怪奇現象に悩まされ続け、ついに生命の危機までエスカレートしたため心霊学者に解決を依頼、心霊学者とその妻の霊能力者はこの家に移り住み一家と協力して悪霊の正体を暴いていく・・というものである。この映画は実話だそうだが、映画のプロットって今から30年近く前に映画化されたアミティ・ビルの「悪魔の住む家」と「エクソシスト」を混ぜたような内容で全然面白そうじゃないでしょ?
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それに血がドバーッとかCGを駆使した驚きの映像は無いし、何回かあるショックシーンも目新しさはゼロなのだ。出演している役者も無名だし美男美女は一人もいない。かなり低予算な映画だな・・と素人目にもわかるのだが、アマチュアが撮ったんじゃないかと思うほどヘタクソなカメラワーク、なんともイヤ~な感じのする粗くて重苦しい画面に、他のホラー映画と違って徹底的に抑えた音響効果がなんとも奇妙なリアリティを生み出していて、筆者は現場にいるような恐怖感をじわじわと感じることができた。この「コンジュアリング」という映画、食いもんでいうと地味だけどスープと麺がうまくマッチした「醤油ラーメン」のような作品である。
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映画を観終って家に帰ると義妹にフィリピンの幽霊屋敷について聞いてみた。なんでもバギオにある「白い家」というのが有名だそうで、「惨殺された一家の幽霊が深夜になると家の中を徘徊してる」「交通事故で死んだオーナーの孫が深夜になると庭で遊んでる」「日本軍の将校の霊が侵入者を刀で切りつける」など数パターンあるとのこと。バギオには白い家以外にも「ディプロマット・ホテル」やティーチャーズ・キャンプなど著名な心霊スポットがいくつもあるので、幽霊マニアは是非ともバギオに住むべきだ・・と義妹は力説していたが、これって俺に「早くどっか出て行け」と言ってんのかね・・。
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「バギオみたいに遠くじゃなくて近場で幽霊屋敷は無いのか?一家惨殺があった家とかさぁ?」と義妹に聞くと、「うーん・・有名な幽霊屋敷かぁ・・パッシグとアンティポロにあるって聞いたけど内容はちょっと分かんないのよね・・」と頼りない答えである。筆者がムスッとしていると「あー・・・でもねぇ・・一家惨殺ならそれこそあっちこっちにあるわよ・・まず最初に、アンタが来る直前に〇〇の横の一家が・・それからSMでお金下ろしでいるときに銃撃されたのは・・」と言ってここ数年間に起こった近所の殺人事件を一つ一つ話し始めた。この話は下手なホラー映画見てるよりも怖い・・さすが国ごとリアルホラーな殺人大国フィリピンである。おみそれしました。
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映画「インターンシップ」試写会に行ってきた

昨日の夕方、女房の数多くいる親族の一人アニーから「映画の試写会に来てくれないか?」との電話を受けた。配給会社があちこちのスポンサーに招待券を送ったのだが、台風の影響で観客が思うように集まらず、このままでは配給会社のアメリカ人のボスがオカンムリになってしまう。この際全然関係なくても良いから頭数だけ揃わせたいと言うので、普段からヒマにしている筆者と女房は親族をかき集め、これ幸いとエドサのロビンソン・ギャレリアに行くことにした。
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映画「インターンシップ」は、冴えない会社をリストラされたもっと冴えない二人の男が、世界一待遇の良いグーグル社の社員になるべく同社主催のサマーインターン制度に参加、どう見ても落ちこぼれのインターン達とチームを組み、四苦八苦の末に見事に採用を勝ち取るという昔の少年ジャンプのようなストーリーである。正直コメディとしてはイマイチなのだが、チームワークとリーダーシップのくだりや、グーグルと言う会社のユニークさは興味深い。もっといろいろ書きたいけどネタバレになるので内容について書くのは省略します。
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女房および同行者はあまり面白くないと評価していたが、つい半年前まで頭カチカチの日本企業で働いていた筆者は、アメリカと日本の組織風土の違いとかいろいろ頭の中で整理できて結構楽しむことができた。これってコメディー映画にするよりも、ビジネススクールとかでシリーズ化して映像販売した方がいいんじゃないかな。渋い顔して小難しい議論をしているのが仕事と思ってるMBAホルダー達は、時間があったらこの映画を見てみたらいかがでしょうか。

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Author by ほにょ / 全記事一覧 / 次のページ / ページトップ
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